<1ピッチ目>
クラックはいざ取りつくと下で見ていて感じたよりも岩が立っているし、バランスが悪い。クラック真ん中にピカピカのペツルが打ってあり、何となく心強かった。ボロボロ支点だと思い切って行けないから。
クラックを抜けるとこれまたピカピカペツルの最終支点があったが、予習によるともうしばらく上がったところにも最終支点があるとのこと。やや右回りに上がっていくとまたまたピカピカペツルがでてきたので、そこでピッチを切った。
<2ピッチ目>
実はこのルート、リーダーは初めてですが私は2回目。私は6年程前?当時はクライミングを初めて間がなく、マルチだって初心者だった、オールフォローだったにも関わらず、いっぱいいっぱい過ぎてその時の記憶が殆どない。が、この出だしは覚えている。とても難しかったからだ。垂壁を登り左上バンドをハンガーボルトまでいくピッチである。
前回は苦戦の末にスリングアブミで何とか登れたが、スリングを回収できずに後続パーティのU師匠に回収してもらった。
今回もやはりフリーではとうてい無理で、A0もしんどかったのでアブミを使用。念のために持ってきたが、持って来ておいてよかった~ かなりお久しぶりのアブミだったが、何となく行けた。左にトラバースしたところで終了。
<3ピッチ目>
またまた出だしから苦戦。これまでのルートはボロイけど乱打という表現がピッタリなくらい支点が打ってあった。要所にはピカピカペツルもあった。なのに、今回は様子が違う。ボロイRCCボルトしかなく、しかもピンの間隔が広い。落ちた時のリスクとルートが違うのではないかという不安で思い切って行けずにウジウジウジウジする。
予習してきたルートガイドを何度も読む。3ピッチ目は凹角が2つ続くルートとなっているとのこと。2つの凹角とはどれだろう?1つは分かるけど、もう1つが分からない。迷いながら取りついては降りてを数回繰り返している内に、左手のカンテの向こう側に見慣れた乱打支点群を見つけた。
あっちが正しいルートじゃないの?正しいルートじゃなくても、支点が多いからあっちに行きたいな・・・とさらに迷う要素が増えた。しかも、あっちのルートに行くには取付きから1段下りて、さらに1m程キレ落ちた箇所をまたいでトラバースしていかないといけない。
トラバースの怖さと、もし間違っていたらどうしようという不安で、またまたウジウジと悩むが、自分的にはやっぱりここで無く、あっちのルートが正しいと思ったので、勇気を出してトラバースすることにした。空間をまたいで、木登りをして小テラスに着いた。
結果は、正解だった。ピカピカペツルの支点があり、予習の通り2つの凹角があった。
落ち着いてから考えてみると、今回切っていたところはアブミスリングで乗っ越したところからビレイヤーの姿が見えたが、前回はビレイヤーの姿は見えなくて、声を頼りに最終支点に向かった。今回は少し手前で切ってしまっていたのだ。
正しいルートには取付きから見えるだけでもピカピカペツルが3つもあって、大きな心の支えを得て取りつくことができた。
1つ目の凹角を抜けて、2つ目の凹角に上がるところがなかなかいい手掛かり、足がかりがなくて困ったが、ピカピカペツルがあるので勇気は出せる。2つ目の凹角を抜けたところの右手に隣のルートかな?の最終支点あり。またもやピカピカペツルだ。ルート上の支点がボロボロRCCだったので、隣ルートのペツルを拝借。
120㎝のスリングを伸ばして支点を取り、心の支えを得てフェイスを左へトラバース気味に上がっていったら、大テラスに出て、ピカピカペツルがあったので、ここで切った。
<4ピッチ目>
まるで対角線を引くようなラインでフェイスを左上していく。下から見るとボコボコしていてホールド&スタンスが豊富なように見えたが、実際に取りついてみるとそれは錯覚だったと思い知らされることになった。
予想以上に立っていて、またバランスも悪い。そして、それらの感じは上にいくほどひどくなった。しかも、私の苦手な高度感が満載で、恐ろしいルートだった。
やっとフェイスの対角に行き着いたと思ったら乗っ越しがありそこでもつまずき、さらにさらにこれまたやっと乗っ越せたと思ったら、最後のフェースは手も足もだせない感じだった。なので、またまたアブミを取り出し使用する。慣れないので手間取った。
辛いピッチを終え、最終支点に辿りついたら後はノンビリしたかったが、最終ピッチが残っている。
<5ピッチ目>
取付きから見上げると左手や真上に支点が見える。右手の遠くにも支点がある。3つのルートがあるのかな?
確か最後のピッチは、左手に海を見ながらなだらかな傾斜のフェースを登って行く・・・というようなものだったような気がする・・・ 確か・・・
なので、左手のルートに進むのがいいような気がしたが、Lが右手のルートを勧めるのでそれに従ったら、結果は失敗だった。
途中ハイキング道に出て、その時点で間違いを確信したが、もはや後戻りはできずそのまま木々を突っ切って進んだ。おかげでロープは屈曲しまくり、そのせいで流れが悪くなりビレイに支障が生じた。木々を抜けると頂上についてそこで切った。
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