神戸ClimbersClub 【山行報告】

 山行は岩登りから雪山までの総合山岳会です。
 アルパインクライミング(雪山や岩登り)を中心に活動しています。

【南アルプス・北岳バットレス】

【山域】南アルプス 御池小屋~北岳バットレス~御池小屋

【期間】2002年7月12日(金)~13日(土)

【メンバー】CL;S々木(利)、S々木(康)、T田、K脇

  • 【コースタイム】

    ●7月11日(木)
       23:30 溝の口駅
       1:30  広河原駐車場
    ●7月12日(金)
      4 :20 起床
      5 :00 駐車場出発
      5 :10 広河原山荘
      7:30 白根御池小屋
      8:08 二俣

  • 北 岳バットレス登攀を終えて

7月12日(金)

北岳バットレスは以前から登りたいところで何回か計画をしたがチャンスが無く今まで登攀することがありませんでした。今回、S々木さんたちと最も人気のある四尾根を登 りましたので報告します。
 7月11日(木)22時30分 溝口でT田さんの車に乗り一路北岳の登山基地である広河原に向かう。途中コンビニで食料を調達して1時30 頃広河原の駐車場に着く。早々にテントを設営し仮眠。
 4時20分起床。5時過ぎにスタート。5時10分 広河原山荘着。準備を整え再スタート。 7時30分、白根御池小屋着。天気が台風一過で非常によく北岳が良く見える。まるで別天地のようだ。
  • 8時8分、二俣に到着。荷揚げのヘリが調査用の物資を下ろしている。大樺沢は雪渓が残っており雪渓を登ることになる。この時期はまだ多く残っておりアイゼンがあったほうがよい。

    バットレスに取り付くには下部岸壁帯を通過する必要がある。一般的なルートであるbガリーの大滝を登ることにする。

      
         
  • 二俣
  • bガリーの大滝の取り付きは二俣より2つ目の沢・バットレス沢を登る(1本目は涸沢、2つ目は水が流れており、すぐ隣 は雪渓の残るCガリー) 実際はバットレス沢の右岸に踏み跡が有りこれをたどり登る。(入るところには×のペンキあり。一般ルートの八本歯のコルへは雪渓をトラバース。)
    尾根を登ると潅木帯に入る、注意するとテープが出てくる。しばらく登り右え回り込むと景色が開ける。上部には雪渓が再度出てきた。
    上部でCガリーとBガリーが合流し繋がっている。
  • バッ トレス沢
bガリーの大滝の取り付きは写真正面の雪渓からのスタートだ。先行パーティーが取り付いているがクレッターシューズでの雪渓のぼりは 見ていても冷や冷やする。
1ピッチ目の取り付きは雪渓上部で確保をしている。あまり安定しているとはいえない。
我々も、登攀用具を雪渓の切れ目の場所で着け準備する。
S々木(康)さんが様子を見に行く。どうも登山靴のまま登れそうとの事でS々木パーティがそのまま取り付く。
  • 我々もS々木パーティーに続き取り付く。 Ⅰピッチ目を鶴田さんが取り付く。
    Ⅰピッチ目を鶴田さんが取り付く。 1ピッチ目の下部3メートルほどが雪渓で埋まり途中から取り付くことになった。 フェースを直上すると小テラスがある。ここで靴をクレーターシューズに履き替えロープもダブルロープにする。
     2ピッチ目は小テラスから直上後、垂壁を避けて左側のスラブを登 る。左右どちらのスラブでも登れる。 広いバンド上のテラスで終了。
     左の草付帯から踏み跡に沿って登る。しばらく登ると横断バンドの踏み後に出る。 左に回りこんだ潅木の木陰でS々木パーティーが我々を待っていてくれた。快晴のため暑い。木陰がうれしい。さらに左に行くと第二尾根への踏み跡が上部に続いて いる。

    四尾根はそのまま草付帯をトラバースを続けCガリーに出る。 Cガリーに雪渓が残っており先行のS々木パーティーがいた。雪渓の向こう四尾根上というペンキの印が2ヶ所ある。前回は雪の無い時であったが上のほうから取り 付いたとの事。ルート解説にはCガリーを過ぎ横断バンドの潅木帯に入るとある。 少し下がったところに明瞭な踏み跡がある為、降りてみる。 解説書では、横断バンドの潅木帯に入ってから30メートルほどのところで、薄汚れた露岩を直上するとある。30メートルほどのところに薄汚れた岩があり右側を回り込めば直上出来そうだ。(80 メートルで第4尾根の取り付きの大テラスに出る。横断バンドをさらにトラバースしたリッジを2ピッチⅢ級上を登ってもいける。)
  • 下部岩壁を登る
これが間違いであった。薄汚れた岩の右側を登るとまた薄汚れた岩が出てきた。中間にハーケンが打ってあり登られたルートであった事とは間違いない。ここを過ぎると大テ ラスかと期待したがバンドの出た。左側にリッジルートが見えたためリッジルートに取り付く。 Ⅲ級上の為、登山靴では大変なのでクレッターシューズに履き替える。1ピッチ登ったところでT田さんと交代する。直上のリッジ通しは厳しそうなためトラバースして回り込んで登る事をアドバイ ス。回り込んでリッジルートに出たところでハーケンにビレーを取り、さらに直上を試みるが手掛かりが遠いとの事。再度右側から回り込むことで突破しようとしたがここで アクシデント発生。 乗越しをしようとした瞬間、バランスを崩し転落。不幸中の幸いは左上部に支点を取っていた事と、途中の潅木に取っていた支点からのロープで事なきを得た。 上部の支点が抜けたり潅木にビレーを取っていなかったらグランドフォールの可能性があり大事故になったかもしれない。本番のアルパインは一瞬たりとも気が抜けない リッジルートを諦め再度バンドのところまで戻り大テラスへのルートを探す。
  S々木(康)さんがCガリーに出る少し手前で薄汚れた岩から上部に行けそうとの事で登っていった。我々も後に続く。2ピッチほどで大テラスに出る。 大テラスからの眺望は素晴らしい。富士山が正面に見える。 時間が15時になっていた為、大テラスでビバーグする。 今日は色々あったので早めに寝ることにする。

7月13日 

 
  •  4時10分起床。日の出が恋しい。朝焼けの富士がきれいだ。
     第4尾根の1ピッチ目。正面のクラックが少し手ごわい。古いルート図であるとⅢ+ が新しいルート図ではⅣ+ に変更されている。 出だしの1ッ歩とその次がクラックに足を突っ込むと抜けなくなりてこずる。 最初の支点までが遠くしんどい。とりあえず1本クリップすると安心。 クラックを乗り越すとスラブを左上する。 支点を見逃さないように注意し登る。 ビレーポイントが余り無くS々木パーティーが登った後にそこでビレーを取る。
      2ピッチ目、T田さんがリード。 左右にルートが取れるらしいが左ルートを登り、三角形の垂壁の下でルートを切る。 ロープの流れが悪くなるので白い岩の下側へ回り込みピッチをきる(15メートル。) 次は、白い岩を右上。(ルート図の3ピッチ目)
     4ピッチ目  リッジ登り。20メートル。
     5ピッチ目  核心部。垂直に近い5メートルのフェース。ピトンがべた打ちされている。右上しフェースを越えると両側が切れ落ちたナイフエッジ。30 メートルでマッチ箱のピークに到着。 マッチ箱のピークから上部フランケ(左側)へ懸垂下降10メートル。 (マッチ箱のピーク)
     6ピッチ目、コーナーから岩尾根フェースを登る。雨がポツリと降り出した。ガスも出てきて岩が少し湿って、滑りやすくなってきたので慎重に登る。
     7ピッチ目、フェイスをそのまま登る。S々木パーティーは左側にトラバースしクラックの下部でピッチを切っているが適当なビレーポイントが無いとの事でトラ バースの手前でピッチを切る。 そこから雨でぬれた岩をトラバースする。支点が無いのと雨で下が濡れて来たので慎重にトラバースする。ここからクラックに沿って右上し枯れ木テラスでビレーする。(後でルート図を見るとトラ バースせずに岩尾根をそのまま直上するのが正しいルート)
     8ピッチ目、左上のリッジを登る。進むとクラックが走っているため手前から回り込む。
     9ピッチ目、左側の草付のフェースを登る。はい松で支点。終了テラスに着く。
     9時5分 登攀を終了し握手をする。景色は何も見えないが満足感がいっぱいである。 また回りのお花畑がいっそう美しかった。 20分ほどで北岳の頂上に着く。記念写真を取り早々に下山する。
  • 取 付きの大テラスでビバーグ

    頂上で記念写真
    下山時間
    北岳頂上;  9時45分
    八本歯のコル; 10時25分
    二俣;     11時23分
    雪渓下; 11時41分
    分岐 13時00分
    広河原小屋; 13時21分
    駐車場 13時40分

稜線は風が強く雨も強くなってきた。早々に下山するが、こんな天候でも登山者がどんどん登ってくる。北岳頂上から八本歯のコルまでは特に風が強い。 八本歯のコルからは岩場有り、梯子有り色々楽しい。天候が良ければ我々が登ってきたバットレスが正面に見えるのに残念である。途中雪渓が出てきた。雪渓から流れる水でのどを潤す。 二俣まで八本歯のコルから約1時間。ここからアイゼンをつけ雪渓を下る。 登りはしんどかったが下りは快適である。20分ほどで雪渓から離れる。雪渓を通過しなくても下れるが1時間かかったと隣の登山者が言っていた。 ここからの歩きは単調で早くビールを飲みたくてウズウズしていた。しかしなかなか着かない。本当に遠い。


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