【南アルプス・北岳バットレス】
【山域】南アルプス 御池小屋~北岳バットレス~御池小屋
【期間】2016年7月29日(金)~31日(日)
【メンバー】KD,NS
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【コースタイム】
●7月29日(金)
8:05 仙流荘
9:00 北沢峠 9:45
10:10 広河原10:50
13:00 二又
15:00 御池小屋テント場
●7月30日(土)
3 :40 テント場
5 :10 下部岩壁取付き
9 :55 4尾根取付き
14:20 登攀終了
北 岳バットレス登攀を終えて
7月29日(金)
昨年のリベンジである今回 のバットレス。またもや天気が良くないらしく、出発前日に一旦中止となってしまった。バットレ スとは縁がないのかもしれない・・・と、とてもガッガリだった。
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それでも諦めきれず出発するはずだった日の仕事終わりにヤマテンで北岳の天気を確認したところ、なんと!!すごくいい内容に変わっているではないです
か!!おまけに関東の梅雨明け宣言までされている。
これは絶対行くしかない!!これを逃すと二度とチャンスはやって来ないかもしれない。
今回行かなかったら絶対後悔する、と早速リーダーに連絡。急遽実施する こととなった。
仙流荘からバスに乗る。北沢峠で乗り換え、広河原へ。膝の上に置かされる ザックが重くて苦しい。
エネルギー補給をして、今夜の宿泊地である白根御池小屋を目指す。荷物が重い。
分岐で大樺沢コースを選択。沢沿いのため涼しくてほんのちょっと気休めになる。
現実逃避をしたくてもこの重さの現実から逃れられず、苦しい2時間半の登りで大樺沢二股に到着。
荷物を置いて、取付きの下見へ行く。空身になったが、ここまでの疲れで足取りが重い。
去年も下見をしていたので、今回は確認程度。問題なさそうなのを確認して戻る。テントを設営した後、ビールで乾杯。翌日の成功を誓う。 御池小屋のテントザイト
バットレス沢
7月30日(土)
3:40 出発。他に出発する気配はなさそう。大樺沢二股へ戻り、そこから左俣コースを取る。10~15分程で右手に涸沢が現れる。さらに30分余り進むとバットレス沢との出合。目印となる大岩がある。
そこから5分ほどでC沢とD沢に挟まれた中間尾根が出てくる。 今回の私達の取り付き点である第五支尾根へはここから登って行く。
ケルンを目印に中間尾根にあがると明瞭な踏み跡があり、それを辿っていけば取付きについた。一か所だけ踏み跡がいくつも分岐しているところがあり一瞬迷ったところ があったが、少し進むと正しいルートはすぐに分かった。5:10取付きに到着。ここで装備を着ける。
<第五支尾根>
●1ピッチ目:Ⅲ級
左へ斜上するルート。岩を回り込んで終了。Ⅲ級もない簡単なルート。終了点からビレイ地点までさほど距離は離れてないように思ったが、ビレイヤーにコールが届
きにくかった。
●2ピッチ目:Ⅲ級
1ピッチ目よりこちらの方が体感グレードは上。終了点は立ち木。
●3ピッチ目:更に1ピッチ延ばす。
- このあと横断バンドを渡るのだが、横断バンドが分かりにくい。
トポ図によるとDガリー大滝の2ピッチ目の終了点を越えて横断バンドに乗り、右上気味に上がって いくようだ。
とりあえず横断バンドとおぼしきルートをトラバースし、途中の支点でピッチをきる。そこから上に向かって支点がいくつかあるので、直上する。少しいやらしい。
中間支点として既存の支点とブッシュを使用。 先程のトラバースルートが下の横断バンドとすると、今度は上の横断バンドに乗った。
そこでピッチを切る。そこから少しトラバースすると樹林帯に入り、立ち木で終了点を作成。取付きへのルートがよく分からない。このルートであっているのか段々
不安になってくる。
通常の森林限界は2500mだが、北岳は2700mらしい。どこまで行っても草木があり、そして虫がとても多い。何がイヤッてこの虫達がすごくイヤだった し、 イライラさせられた。 そこからまたまた直上。そう思い込めば踏み跡かもしれないけど・・・というような怪しげなズルズルの斜面を草を掴みながら登って行く。すると突然道に出た。踏 み跡ではなく、道と呼べるような所。ちょうど私が登ってきたところがT字路の縦の棒で右と左へ道がついていた。なので、まず左に行ってみた。壁が出てきた。ビ レイ用?の支点が1個あったが壁には支点はない。とりあえずその支点でビレイをしてLを引き上げる。 Lにこの壁を登れば良いのではないかと聞いたところ、この壁が下部1ピッチ目とすると、2ピッチ目の壁がイヤらしく、Lの仲間が以前そこで落ちたことがあるとのこ とだった。 なので、ここを登るのは止めておこうとなった。
もうここまででかなりの時間をロスしている。
Cガリーは落石の危険があるため避けていたが、そこからだと分かりやすいということでCガリーから取りつきに向か うことになった。 先ほどのT字路へ戻り、反対方向へ進んでCガリーに出る。 浮石だらけで歩きづらく、いろんなものに捕まりながら登って行く。しばらく行ったところで左の踏み跡に入り、9:55やっと取付きに着いた。 ネットで見ていた赤ペンキの「4」を見たときは、すごく嬉しかった。 下部岩壁
トラバースルートへ の登り
四尾根登攀
- 水分補給などをして登攀開始。 バットレスのルートは、グレード的に見ると奇数ピッチが核心で偶数ピッチは比較的易しめのようだった。
Lは今回のバットレスが6回目。私は初めて。なので、私の好きなピッチを登っていいよと言ってくれていた。
お言葉に甘えて奇数ピッチを登らせてもらうことにした。
●1ピッチ目:Ⅳ+
1ピン目は下からクリップ可能。 カムの♯3が有効と聞いていたので、クラックにカムをセットしてクリップしておく。
離陸前に既に2つの支点が取れた。左足をクラックに入れて離陸。右足は適当に置く。左足はずっとクラックをスタンスにして上げていった。痛いけど、よく効く。 手はジャミングとかはしなかった。そこを越えれば、やさしいスラブ。
●2ピッチ目:Ⅱ
やさしいフェースをピラミッドフェースの頭の下まで(白いクラックの手前) 四尾根1ピッチ目
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●3ピッチ目:Ⅲ白いクラック、やさしいスラブ。ピンはないが、岩が寝ているのでこわくない。ピラミッドフェースの頭の裏まで
●4ピッチ目:Ⅲ 核心部の手前。簡単
●5ピッチ目:Ⅳ+
持てるフレークとしっかりしたスタンスがあり、問題なく離陸。右足をもう一歩あげれば手が右のカンテに届くので、そうなれば終了。高さがないし、テラス も広 いので無用な怖さがない。バットレスの岩はフリクションが良く効くのでスメアもよくきまる。そのままカンテを右から回り込んでリッジを登って行くと、懸垂 地点 に着く。
ロープをほどいて懸垂のセットをし、懸垂して、またロープを結びなおす・・・ 今回私達はバットレス第4尾根を貸し切りにしたけれど、そうでなければここですご~く待たされるのだろうなあと思った。マイペースで登ることができたし、ほん とありがたい環境で登らせてもらった。
●6ピッチ目:Ⅳ
20m程でハーケンが4本打ってありそこで切ろうと思ったがロープが未だたくさん残っていたのでもう少し延ばしたが、ここで切った方が良い。更に10m 程ん 延ばすとハーケン2本でビレーをする。
●7ピッチ目:Ⅲ+
右と左と2ルートあるが、易しい左ルートを選択。ピンが全く見当たらなくてノーピンで終了点まで。易しいスラブだから問題ないけれど・・・
終了点から2010年の崩落跡が一望できた。赤土がむき出しになったおそろしい光景だった。時々「パラパラ・・・」と自然落石の音が聞こえてくる。今も 小石 が落ち続けているようだ。またいつか、大崩落が起きるのではないかと怖かった。 崩落現場を見ると怖くなるので、できるだけ見ないようにしてビレイした。
●8ピッチ目:トラバース。 手はリッジをガッツリ持てる。足も小さいスタンスがたくさんある。高度感は怖いけど、下を見なければ大丈夫。ただ、一か所岩が切れ落ちて宙を渡らなければい けない箇所があり、怖くてモタモタしてしまった。 赤いピトンが9ピッチ目の1ピン目なので、そこまで。
●9ピッチ目:Ⅳ+
スラブからチムニーへ。スラブも逆層みたいでなんとなく持ちにくく、割と傾斜がきついのでバランスも悪いように感じた。そのまま核心部へ。足を開いてズ リズ リ体を上げていく。右の壁は手も足もいい所がなく必死。。フリクションが効くので、微妙なキョンとスメアで乗り切ったような気がする・・・あまり記憶がな い。 モタモタしていると疲れそうなので、さっさと登った。不動岩の砂かぶりに似ているような気がして、何回も練習していて良かったと思った。 乗っ越すところに残置カムがあり、とてもありがたく使わせていただいた。 その上にもさらに小さな乗っ越しがあり、そこを過ぎると終了点。
でも、本当の終了点はもう少し先らしい・・・ そこからもう少し岩場歩きが続くが、ノーザイルはイヤらしかったのでビレイして行った。 終了点で休憩して、一般道への道を登る。ここから白根御池小屋までまだまだ長い道のりが待っている。しかし、足取りが重い でも少し行くと、ものすごくキレイなお花畑に出会った。 色取り取りのお花が咲いていて、こんなきれいなお花畑は見たことがない。 一般道にもお花畑はあったが、そこの何倍もキレイ。そのお花畑の中を歩くのだ。疲れが少し癒された。
一般道に出て、どのルートを行くか迷ったけれど折角だからと北岳の頂上に寄り、Lはここで旧交を温めていた。山の世界は本当に狭いものだ。 肩の小屋は大盛況で、大勢の人がビールで談笑していた。私はジュースで我慢し、ひたすら下山。Lは元気でヒョイヒョイ下りていくが、私はノロノロ。何とか 暗くなる前に小屋に着きたいと焦るものの、足は進まず。 テン場が見えた時は本当に嬉しかった。16時半頃にテン場着。どうにか明るい内に着くことができホッとした。荷物を片付けるのもそこそこに、生ビールで乾 杯。ここの生ビールはジョッキに入れてくれることに感動した。 お天気にも恵まれたし、貸し切りの岩場だった。本当にあり得ない!!
あきらめてしまわずに来て良かった。 去年、今年とバットレスを目標にしてトレーニングをしてきたが、その成果を大いに出せたと思う。やっぱりトレーニングは大事だと改めて感じた。 念願だったバットレスに来れて、目標が達成できて、大満足の山行でした。(記:MN)
懸垂各地点から見上げる
城塞ハング
枯れ木テラス
マッチ箱